こんにちは、イチコン(第一コンピュータ印刷株式会社)です。
先日、燕三条Gスクエアの多目的スタジオで、AIを活用した業務効率化について、
社内の戦略チームによるプレゼンテーション合戦を行いました。
AI、特に文章や画像などを作成できる生成AIを
企画のアイディア立案やイメージ画像作成など業務に活用する企業が増えています。
イチコンも昨年秋に開催された燕三条ものづくりメッセで、
ご来場者様の名前からイメージした画像を生成して
その画像を使った名刺をデザインする「お名前アートPIKA!NAME」を提案しました。
自分の名前からどんな画像が生成されるのだろうという好奇心や
期待感を抱かせるこの企画は、体験した方からも「楽しかった」と好評でした。

今回は「AIを活用した業務の効率化」に重点を当て、 ChatGPTなどに代表される対話から文章などを生成する AIの活用を考えるチームエスフォーと、 画像や動画を生成するAIを活用するスマートワークAIの 2チームに分かれてプレゼンテーションを行いました。

ChatGPTで書類作成を効率化!
チームエスフォーは、 社内で制作する書類の制作にChatGPT を活用した業務効率化を提案。 具体例として、イチコンLINE事業部で LINE公式アカウントの運用サポートをさせていただいているお客様へ お送りしている月次レポートに着目し、ChatGPTでレポート作成を試みました。
合わせて、試行結果に基づいて見込まれる作業時間の短縮や その他の効果などの試算結果を紹介しました。

これまでLINE公式アカウントの月次レポートは、 月ごとの利用状況をもとに事業部のスタッフが手分けしてメッセージを考え、 作成しておりました。 スタッフの知識に裏付けられた分析に基づく評価メッセージはお客様にも好評ですが、 作成に時間がかかってしまいます。
チームエスフォーはこの評価メッセージの作成をChatGPTに代行させ、 さらにプロンプトで運用の状況をAIで分析し、グラフと文章に起こすよう指示しました。 これによりレポート作成にかかる時間を短縮できた上、 これまでは時間的な事情などで難しかった グラフによるデータの視覚化も可能となりました。

チームエスフォーの試算では、 従来と比べて1件あたり約12分の作業時間が短縮されました。 これを一ヶ月あたりの作業時間に換算すると LINE事業部全体で約15時間(900分)もの作業時間が短縮されることとなり、 作業効率が向上していると考えられます。
さらに、視覚的効果が高いグラフの添付や 文字数なども含めた様式の統一化が行われることにより、 今まで以上にわかりやすく、かつ読みやすいレポートの提供が可能になると思われます。
実際に活用するにはまだ検証を重ねていく必要がありますが、 レポートの品質向上は顧客満足度の上昇や、 イチコンの強みとして営業面でもメリットや利益増が見込める結果となりました。
AIで動画制作をサポート!
スマートワークAIチームはデザインや製作面での効率化を提案。 縦型のショート動画(60秒未満の動画)を生成AIで作成し、 生成AIによる動画制作効率化の実証実験を行いました。
動画によるプロモーションは需要が高く、 一方で競合も多いためいかにコストを抑えつつ クオリティーの高い動画をスピーディーに制作できるかが求められています。 しかし、動画制作は工程が多く、専門的な知識も必要となるため 動画制作もスキルの習熟にも時間がかかってしまいます。 スマートワークAIは、生成AIの活用による作業工程の効率化や作業時間の短縮、 動画制作スタッフの負担軽減、 誰でも動画制作が可能になる環境を構築して作業人員を確保することなどを 目標に掲げてプレゼンに臨みました。
プレゼンの際には、イチコンで撮影した画像などをもとに フリーの生成AI動画ツールで編集した20秒程度のショート動画2本も上映されました。

現在、20秒程度のショート動画の制作にはおおむね3、4時間ほどかかっています。 また、絵コンテ・撮影・編集・アップロードといった基本的な工程は 動画の長さに関係なく必要です。 そのため動画制作の効率化には、 作業にかかる時間をどのように短縮するかなどが求められます。 そこで動画生成AIの出番です! スマートワークAIチームは、 AIの自動編集機能や文字起こし・字幕制作機能などを活用することで 動画制作の中でも特に時間のかかる編集作業時間の短縮と 作業スタッフの負担軽減を図りました。
今回の実験では約20秒のショート動画が1本あたり約2時間で完成。 1本あたり1時間以上の時間短縮が実現しました。 作業そのものの効率化はもちろんですが、 経験を重ねて的確なプロンプトの作成と共有ができれば、 動画編集の経験が少ないスタッフでも動画制作ができる環境を構築できそうです。
プレゼンの結果は……
両チームのプレゼン終了後、投票を行いました。 より多くの票を集めたのはチームエスフォー!
ですが、スマートワークAIチームの制作した動画は好評で、 参加したスタッフから 「当日やむを得ず参加できなかったスタッフもぜひ見て欲しい」と要望が多く、 後日社内全員で共有いたしました!
今後の課題
今回のプレゼンテーションでは、生成AIによる作業の効率化が実証されましたが、 生成AIは存在しないデータを作成してしまうハルシネーションや 不自然な作画など正確性の問題や、品質の均一化が見込める一方で オリジナリティを出しづらいなどの課題を抱えています。 ツールも日進月歩で進化しているため、導入したら終わりではなく、 定期的にツールへの学習やアップデートも必要となり、 ツールの学習コストもかかります。
現時点ではAIで生成した文書や制作物も 人の手による最終的なチェックと編集が必要なため、 どこまで効率化を図れるかわかりません。 課題も多く、今のところイチコンでの導入の予定は決まっておりませんが、 今後も両チームともさらに実証や研究を重ねていく予定です。